建築生活

こんな私の生活でも、興味を持ってくれる人がいたので、ブログを書くことにしました。

建築計画Ⅰ 空間の性能

建築計画Ⅰ

 

今回の授業は、施設についての話から始まった。

空間の性能として、持続可能性と利便性について考えていく。

 

 

一つ目は、利便性についてです。

ここでは特にキッチンに代表される動線計画を取り上げました。動線計画が意識され始めたのは、1925年の近代建築以降にバウハウスで建築に人間工学が取り入れられ他頃からです。

このころの建築で思想的に変わったのは、脱宗教、脱様式です。思想的な理由ではなく、人間が使いやすいように空間を考えていこうという発想が生まれてきました。

 

動線計画を考えるときの基準は、「疲れない」といいうことです。また注意すべきポイントは、分離すべき動線が分離されているかということです。これはゾーニングと呼ばれ、例えば図書館では、サービスを受ける人と提供する人の動線が重ならないように設計します。

アレキサンダー・クラインの動線では、平面図から動線を取り出して利便性を考察しています。

 

二つ目は、快適性についてです。

ここでは特に温熱環境の調整を取り上げました。

 

 

f:id:Hotate-Hokkaido:20200130193959p:plain

快適ライン

 

快適だと感じる灰色のゾーンまで、空間的な方法によって青からオレンジまで、機能的な方法によってオレンジから緑まで近づけることで段階的に達成していく。

バブルの時代は機能的な方法に頼って達成しようとしていたが、今はバブルの前と同様空間的な方法だけで近づける方法を模索している。

 

空間的な方法で温熱環境を調整するとは、例えば日本に伝統住宅において、深いひさしとその前に広葉樹を置くという形がある。夏は太陽高度が高いので、深いひさしと広葉樹が火を遮り、冬は太陽高度が低くなり、さらに葉が落ちるため日光を多く取り入れることができる。

南窓がいいというが、直射日光って扱いづらいものである。最近はコンピューターで人工灯も組み合わせて調整している。

 

3つ目は、安全性についてです。

ここでは火災対策を取り上げます。

シカゴで大火災があった時もそうでしたが、日本でも、火災対策として鉄筋コンクリートを使って施設を立てるようになります。日本では、鉄筋コンクリートが真っ先に小、中学校に使われ、世界に先駆けて避難場所としました。

そもそも、どうやって火災になるのかと言いますと、発火後5~10分で、フラッシュオーバーを起こして、部屋全体が一気に燃えるのです。ですから、4分消化して消えなかったら、逃げましょう!火災は天井から上階の床へ燃えていくのではなく、割れた窓から外へ火が出て、外から上階へ燃え移ります。ですから、窓の下の部分の壁が高いと、火が広がりにくいです。

特別避難階段で大切なことはいくつかあります。

・壁が厚くなるので、壁から90cm離すこと。人が呼吸でき、電気が落ちても光を得るために、窓は削ってはいけません。それか一旦外に出るように設計します。

・開き戸は、逃げる方向に向かって開くように設計しましょう。これはフールプルーフ(間違えようのない)、ミスが起こらない設計と呼ばれます。似た言葉に、フェイルセーフ があります。ミスをしても、安全が維持される設計です。

・二方向避難、火災が起こった時、階段が一つでは反対側にいる人が逃げられないので、反対側にも階段を作っておく必要があります。

 

丹下健三の代々木競技場も、避難を考えて、入り口が外へ向かって広がっています。

 

 

4つ目は、耐久性についてです。

ライフサイクルコスト(LCC)は、構造物の企画、設計に始まり、竣工、運用を経て、修繕、耐用年数の経過により解体処分するまでを建物の生涯と定義して、その全期間に要する費用を意味します。

ここで出てきた耐用年数は、本当にもつかではなく、壊されるまでの結果論で計算しますので、日本の住宅では25年ほどです。

鉄筋コンクリートは、アルカリ性の鉄が、雨などの酸性によって中性化し、体積が大きくなることで腐食していきます。これは物理的耐用年数と呼ばれ、中性化が主筋に届くまでの時間を意味し、60~70年です。

設備的耐用年数は、配管が10年、ダクトが20~25年です。つまり物理的にダメになるまでに、5,6回配管を取り替える必要があるので、コンクリートの内部に配管やダクトを埋め込んではいけません。

4つ目は、機能的耐用年数です。最初は希望を持って建てられた施設でも、時代とともにニーズが変わり、使われなくなってしまうまでの時間です。顕著に現れるのは住宅です。対策として、SI(スケルトン・インフィル)という手法が考えられました。建物のスケルトン(構造躯体)と、インフィル(間取り、内装、設備)を分離した工法です。

5つ目は、建物が経済的に価値を有する時間を示す、経済耐用年数です。建てられてから、イニシャルコストの負担は減っていきますが、ランニングコストが高くなっていきます。税法上で使用できる期間を定めた法定耐用年数とは異なり、物理的、機能的、経済的要因による劣化を総合的に見て、経済的に稼働できる寿命を表します。日本は、法定耐用年数によって、中古住宅を否定しています。

 

空間の性能の5つ目、変化への耐用についてです。

リノベーションとコンバージョン(用途転用)という方法があります。

リノベーションは、今ある建物の用途を変えないまま付加価値をつけて価値を再生することで、コンバージョンは、用途を変更することで価値を再生することを意味します。例えば倉庫を賃貸住宅にしたり、銭湯をデイサービス施設に変更したりする場合です。

 

人口減少の時代は、かつての都市計画の崩壊も招きました。用途地域を決める都市計画では、ニュータウンを作りましたが、今は高齢化でむしろいつでもお年寄りがいるんですけど、ニュータウンは同じようなライフスタイルの人が済むので、開く時間が発生してしまいます。そのためニュータウンでの犯罪が増えてしまいました。

 

アパートも変化し、犯罪が起こるデザインになってきました。かつては二つの住戸の間に階段を設ける、階段室型が主流でしたが、今は廊下の両端に階段を設ける片廊下型の方が、経済的な利点から増えてきました。

 

○発達と環境

母子一体化の時期というものがあります。この時期は、子供が見える、また子供も母親が見える必要があります。3~4歳は、自分ではできると思っているのに体がついて行かず、事故が多発するので注意が必要です。

保育園などでよく取られる手法は、0~2歳,3~4歳,5~6歳を、遊び場も含めて分けることです。

今、子供の起きている時間のほとんどは学校にいるので、教育環境だけでなく、生活環境、遊び場でもあると、成育環境の研究の第一人者である仙田満先生はおっしゃっています。

プレイパークコペンハーゲンで生まれはガラクタ遊びから発想されました。廃材などを集めてきて、子供が小屋を作るなど、自主性に任せる遊び場です。プレイリーダーという大人もつけます。

 

 

○先生からの設計の勉強のアドバイス

・デザインするときは、平面図などを書きながら常に横で断面図やパースを描くようにしよう。良い設計は断面図もしっかりデザインされている。

・外構や植栽もちゃんとデザインする。何の木?土か砂利か?

建物として、「外部だけで図書館って設計できる?」、「1000人が一緒に学ぶ教室は?」考えてみよう!

ところで、仮設住宅を経由して家に戻るのは日本だけだよ。アメリカはツーバイフォーという工業化住宅で、ホームセンターに規格の部材売ってるから、自分で治すことができる。日本でやろうとしたら各メーカーがそれぞれ作っちゃったから失敗したんだけどね。災害後の復興がどうあるべきか考えたら、そもそも仮設住宅がいるのかという議論にもなるね。柔軟な発想をで建築を楽しもう!