建築生活

こんな私の生活でも、興味を持ってくれる人がいたので、ブログを書くことにしました。

建築計画Ⅰ 日本の住宅の形式の変化

建築計画Ⅰ

 

今回の授業は、住宅の形式の変化のお話でした。

 

関西、関東を中心とした日本の住宅や住宅に限らずその他の建物も、その時代の影響を受けています。例えば廊下は近代以降に生まれたものです。桂離宮にも廊下はありません。

北海道では、アイヌが住むところに開拓が入り、近代、現代的な暮らしになりましたが、入ってきた人も、相当の苦労をして開拓していきました。その結果、四角くて窓の小さい建物が多くなってしまいました。

 

 

本州の住宅の変化は、明治時代に西洋が入ってきたことから始まります。

和洋折衷で、敷地の中に和式の住宅と別棟の洋式の住宅を作りました。面白いのは、別棟の洋式住宅でも靴を脱いだところです。日本人の衛生の文化と、湿度が高い気候の中で、靴を脱ぐことはやめられなかったんですね。

そして、洋式を基本にした住宅の内部に和式の部屋が入れられるようになり、床座と椅子座の共存を模索していきます。

余談ですが、京都の畳の幅京間は、関東の田舎間より柱一本分大きいので、古民家再生の時にユニットバスが入らないなどの問題が起きます。

そして中廊下型住宅へ発展していきます。質をそれぞれ独立させ、独立性を高めてきました。プライバシーの概念は、日本に伝統的に存在しませんでした。プライバシー保護がいいなと思って輸入されたんじゃなくて、憧れから形を真似、それからプライバシーを知ったのです。そして「茶の間」が生まれました。

大正時代に入り、家族本位で、家族の繋がりを強くしましょうという考え方になり、居間中心の住宅になっていきます。また、椅子座の傾向も強くなります。

第二次世界大戦を経て、食寝分離論と型計画が生まれました。

 

この時、使い方調査と使われ方調査が用いられました。使い方調査は、京大の西山夘三が提唱したもので、住宅の間取りと居住者の生活の関係を調査し、ライフスタイルのあり方を追求するとともに、住宅は食事の場所と寝る場所を区別するべきだという「食寝分離」を理論化しました。使われ方調査は、東大の吉武泰水らが提唱した、利用者の行動そのものや、家具の置き方などを意識の反映及び軌跡として建物の使われ方を調査し、法則を発見しました。

 

建築計画学が一番活躍したのが、第二次世界大戦直後です。みんな家がなかったので、日本国民に住まいを提供する、次世代を支える技術を短時間で育てるということを目的に、住まい標準化がされました。住宅も、小学校なども、短時間で良いものを供給するにはどうしたらいいかが模索されました。

食寝分離論は、就寝分離論と合わさり、それら二つを実現する間取りの構成は、51C型と呼ばれます。1951年に登場したことと、A(16坪)、B(14坪)、C(12坪)のうちCの広さだったことが理由です。食寝分理論により、台所に食事するスペースが設けられたダイニングキッチン(DK)が導入されました。

 

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51C型平面図

 

 また、第二次世界大戦の火災で家がなくなってしまったので、火災に強い鉄筋コンクリート(RC)で立てられるようになりました。

 

このようにして、

・食寝分離

・就寝分離

・私室の確立

・家事労働の軽減

・機能文化

を目指したモダンリビングが生まれました。

機能主義からnLDKへ移行していきますが、岡山の住宅を設計した山本利権さんは、これに反対しました。

1980年代に入り、日本はだんだん豊かになってきて、nLDKは批判され始めます。豊かになった日本国民は、個性と多様性を求めるようになりました。

1970~1980年に大阪で、コーポラティブ住宅が始まりました。個性や多様性を求めるのと同時に、高度成長期にどんどん建てられた家の値段の高さに疑問を感じ始めたのです。住宅が建つまでには、土地代、建物代、設計費だけでなく、人の紹介料、土地をいじる人などいろんな人のマージンの合算になっています。もっと安くできるやろ!

似ていますが、コレクティブ・ハウジングは集まって住むことに重点を置き、共用、共有部分を多くとる住宅です。

この二つを合わせて、コ・ハウジングと呼ばれます。

 

 

話は変わって、北海道の建築の特徴は居間に集まって過ごす、活動的なものであることです。

そして閉鎖型です。本州では凸凹な形で、敷地に余裕があれば増設もしますが、北海道では箱型で、居間中心です。

アイヌの伝統住宅チセは、縦穴を掘らず、夏の家と冬の家の二つを持ちます。あ、冬の家はちょっと掘ります。

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チセ 平面図

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チセ 断面図

北海道の住宅も洋風ですが、本州とは違って、洋風の方が寒さに耐えられたことが理由です。また北海道では、断熱性を上げることが、日本で初めて研究され始めました。

 

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三角屋根住宅 断面図

 現在北海道では人口減少と札幌市への人口集中が進んでいます。札幌が地方のお年寄りを吸い取っているんです。

 

都市の話で先生おすすめの本は、

・都市という劇場

・街並みの美学1:D/Hという建物からの距離と建物の高さの関係から囲まれ感を表す指標で街並みを考察していきます。ヨーロッパ大好き先生なのは注意(笑)

 

街並みを豊かにする事例が挙げられました。

・ポケットパーク:洋服のベストについているような小さい公園

ニューヨークのオフィス街で、営業に出た時にちょっと休む場所や、パンを食べる場所を探すことが元となって、民間の地主が、ベストポケットパークを作り、街並みを豊かにしようとしました。日本の行政は単に小さい公園と捉えていますが、本来はオフィス街の中にある休むところを意味します。住民が管理するところに特徴があり、①都市美、➁小空間に価値を与える、➂コミュニティを生むこと、➃高度な都市空間にゆとりを生むことが期待されます。

このような公共空間の生まれ方はPFIプライベート・ファイナンス・イニシアティブ)であり、公共空間を民間の資金、ノウハウで運用していくことは、効率的で効果的です。

・ハイラインパーク:廃材や形状を活用したデザインで、斜めに通っていた高架線が使われなくなり、そこを全部公園にしました!

建物の高さに関係なく高架線はあるので、今まで見たことのない中途半端な位置から、オフィスの窓を見ることが新鮮で面白いです。札幌は、数字的にはわかりやすいですが、空間認識的には、どの交差点も同じ顔を持つという悲しい面があります。

このように用途転用することからは、更地では出てこない発想が生まれるかもしれません。